Ranunculus ―暁の彗星―
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「…ここにあるといいんだが…」

暗闇の中、数名の男の足音と声が響く

全員が手に松明を持ち、足元や顔を照らしている



彼らは森の奥にある神殿の内部にいた


時刻は大体夜中頃
外は満月の月明かりで少し明るいが、神殿の中は暗い

歩くためには彼らの持つ松明が頼りとなっていた



「隊長ー!」

「…どうしたんだよ」

「行き止まりです」

部下らしき一人の男が差す方向を松明で照らす

そこには月の紋章などの装飾が施された壁があり、男たちの行く手を阻んでいた


すると、隊長と呼ばれた男が壁の前まですすみ、手で壁の装飾をなぞる

何か調べているようだ


しばらくして何かに気付いたのか、ほう…と唸った隊長


「隊長…?」

「見てろ…」


いぶかしむ隊員達の前で、隊長は口の中で小さく何かを呟く

そして、装飾にあわせて人差し指で十字を切った



それに応じるように、壁の月の紋章が暗闇の中で薄緑色に光る


「おぉ…」


隊員達が感嘆の声をあげる中、壁はゴゴゴゴと音をたて、崩れていった




立ち上る砂埃がおさまった先には通路が開けていた



「隠し通路があったのか…」


男たちは、現れた通路を進んでいく



しばらく進んで行くと、隊長がふと立ち止まった


「隊長?どうし」

「静かにしろ」

と手で隊員を制す


何かを感じたのか、あたりを見渡す

偶然、落ちている石を見つけて拾い上げる
それを、少し距離がある石床に向けて投げた


その石が床に落ちると、タイル状の石床の一部がべこっとへこんだ

それと同時に、その付近の壁から大量の矢が発射され、向かいの壁に突きささった


「うわっ…」

隊員達が、暗闇の中で突如起こったことに青ざめる


しかし、それとは反対に

「罠か…」

と呟く隊長の顔は笑っていた


「おい オマエら…この奥に例のものがある確率が高いぞ」


その言葉を聞き全員から歓声があがる


先ほどまで漂っていた恐怖が、一気に振り払われ、士気が上がった

士気が戻ったことに満足し、隊長は隊員たちを導く


「全員俺から離れるなよ。…いくぞ」




しばらく数々の罠を抜けて進んでいくと、また壁に行く手を阻まれた

「隊長。また壁です」

隊員に促され壁を調べるが、隊長は顔をしかめて言う


「…これはさっきのやつとはタチが違う……強攻突破だな」


後ろ手に、部下に下がれと指示を出す
全員下がったのを確認すると、右手を前に出し瞑目する

深く深呼吸し目をカッと見開いて、魔法を発動させた

「鉄砕槌(ブレイクハンマー)!!!」

突如空間に現れた大きなハンマーがが壁を粉々に砕いた



すると、壁を破壊した後の通路に白い光が入り、隊員たちの視界を白く焼く

「…っ…眩しっ…」

眩しさに慣れると、彼らの目の前には巨大な大空洞が広がっているのが見えてきた


所々壁などから水晶が突き出していて、天井に1つ小さな穴が開いている

そこから月の光が差し込み、中の水晶に反射して空洞の中を照らしているようだ


神殿というだけあって、神秘的な雰囲気だ


「…隊長…」

「あぁ…」


だが彼らの視界には、そんな神秘的な水晶も、月の光も、何もかも入ってはいなかった

彼らの視界に入っていたものはただ一つ



巨大な祭壇の上に浮かぶ巨大な水晶の塊

「ついに…ついに見つけたぞ!!」

全員から歓声があがる

水晶の中には大きな卵のようなシルエットがある


「これで…俺らの崇高な理想が現実になる…!!」

といい隊員の方へ振り返る

「早く殿下に報告をしろ!!」

「はっ!!」

隊長の指示に、隊員の一人が素早く応じた





「…待ってろよ…ノーラッド、ジュキル…!!……もうじき末梢殺戮作戦(テイタノマキア)が発動する…!!!!」


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